「長崎くんち」は福岡県の「筥崎宮放生会」、熊本県の「八代妙見祭」とともに「九州三大祭り」の一つで長崎の秋の風物詩。鎖国の時代には唯一、外国との貿易や文化交流の窓口だった長崎の歩んだ歴史を感じさせるお祭り。そんな「長崎くんち」の見どころを徹底解説します。
長崎くんちとは?
「長崎くんち」は長崎の氏神・鎮西大社 諏訪神社の秋季大祭。毎年10月7日〜9日に3日間開催されます。1634(寛永11)年、二人の遊女が諏訪神社神前に謡曲「小舞(こめえ)」を奉納したことが始まりと言われています。
独特でダイナミックな奉納踊を特色としていて、380年以上の伝統を誇ります。奉納踊は国指定重要無形民俗文化財に指定されています。踊りを奉納する町を「踊町」と呼びます。長崎市内には58の「踊町」があって、7つの組に分けられています、そして7年に一度、当番が回ってきます。
長唄に合わせて踊る日本舞踊やおらんだ万才などの本踊のほか、船に車輪を付けて大勢で曳く、曳物があります。石畳と車輪がきしむ音が加わって豪快で大迫力の演し物です。
コッコデショや鯱太鼓など、大勢の担ぎ手が担ぐ演し物は空中に放り投げて手拍子をするなどの離れ業が随所に入ってとっても勇壮で華麗。アンコールを意味する「モッテコーイ」のかけ声が祭りを盛り上げます。
「長崎くんち」2023年の出演踊町と演し物、披露時刻
出演踊町と演し物
桶屋町 傘鉾・本踊(ほんおどり)
船大工町 傘鉾・川船(かわふね)
丸山町 傘鉾・本踊(ほんおどり)
本石灰町 傘鉾・御朱印船(ごしゅいんせん)
栄町 傘鉾・阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)
万屋町 傘鉾・鯨の潮吹き(くじらのしおふき)
披露時刻
桶屋町 | 船大工町 | 栄町 | 本石灰町 | 丸山町 | 万屋町 | |
諏訪神社 | 7:00 | 7:30 | 8:00 | 8:30 | 9:00 | 9:30 |
中央公園 | 8:10 | 8:40 | 9:10 | 9:40 | 10:10 | 10:40 |
お旅所 | 9:10 | 9:40 | 10:10 | 10:40 | 11:10 | 11:40 |
終了予定 | 9:40 | 10:10 | 10:40 | 11:10 | 11:40 | 12:10 |
諏訪神社 | 16:00 | 16:30 | 17:00 | 17:30 | 18:00 | 18:30 |
中央公園 | 17:10 | 17:40 | 18:10 | 18:40 | 19:10 | 19:40 |
終了予定 | 17:40 | 18:10 | 18:40 | 19:10 | 19:40 | 20:10 |
長崎くんちの行事一覧
6月1日 小屋入り・打込み
くんちの始まり。踊町の世話役や出演者が、諏訪・八坂の両神社神前で清祓を受けて、大役の無事達成を祈願し、この日から 演し物の稽古に入ります。昔は小屋を建て、身を清めて稽古に専念したことから、小屋入りといいます。
小屋入りのあとに、くんち関係者のもとに踊町が挨拶に訪れます。
10月3日 庭見世
表通りに面した店舗などに、傘鉾をはじめ演し物の曳物や衣装、小道具、楽器などを分散して飾るほか、出演者に贈られたお祝い品を並べて披露します。
10月4日 人数揃い
演し物の稽古が仕上がり、準備が整ったことを踊町関係者に本番と同様の衣装で、町内数か所で披露します。
10月7日〜9日 庭先回り
諏訪神社など所定の場所を済ませた後、各踊町は庭先回りに移ります。市内中心部の事業所や官公庁、民家などに敬意を表して踊りを呈上することで福をお裾分けし、お祝いするという趣旨のもので、踊町は短い踊りやお囃子を玄関先や店先、門前等の路上で演じます。
10月7日〜9日 お下り(13:00)
諏訪神社の本宮からお旅所の仮宮まで、諏訪・住吉・森崎の三基の御神輿が下ります。御神輿を担ぐのは神輿守町と呼ばれる旧長崎村の各郷の人たちです。
10月7日 傘鉾パレード
その年の踊町の傘鉾がお下りの行列に続いてパレードします。100キロ以上ある傘鉾が一斉に回る様子は力強く、「モッテコーイ」「フトウマワレ」の声が掛かります。
10月9日 お上り(13:00)
お旅所の仮宮から諏訪神社の本宮へ、三基の御神輿がもどります。県庁坂や諏訪神社の石段を一気に駆け上がるその姿は迫力があり、くんちのフィナーレを勇壮に飾ります。
長崎くんちの観覧場所
長崎くんちは下記の踊場に加えて、市内各所の「庭先回り」を観ることができます。
諏訪神社
住所:長崎県長崎市上西山町18-15
お旅所
住所:長崎県長崎市元船町17番地
八坂神社
住所:長崎県長崎市鍛冶屋町8-53
中央公園くんち観覧場
住所:長崎県長崎市賑町5-100
まとめ
2023年は10月の三連休とちょうど重なる「長崎くんち」。それだけに例年以上の混雑も予想されますが、勇壮さと華麗さを兼ね備えたお祭りは見応え抜群。ぜひこの機会に「長崎くんち」を楽しんではいかがでしょうか。