5月の「葵祭」、7月の「祇園祭」とともに京都の三大祭りの一つに数えられる「時代祭」。新型コロナウィルス感染拡大の影響で2年続けて中止を余儀なくされましたが、3年ぶりに秋の都大路に「時代祭」が戻ってきます。きらびやかな時代絵巻は家族・ファミリーで楽しむことができます。そこで「時代祭」のポイントと、おすすめのホテルを紹介します。
目次
「時代祭」の基礎知識
「時代祭」とは
「時代祭」は平安神宮の例大祭。平安神宮の創建と平安遷都1100年を奉祝する行事として、1895年(明治28)に始まりました。桓武天皇が794年(延暦13)に長岡京から平安京に都を移した10月22日に「京都の誕生日」として、毎年開催されています。
明治維新から始まり、次いで江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、延暦と8つの時代にまたがって、それぞれの時代の衣装をみにまとった20の列、牛や馬を含む総勢約2000名におよぶ行列が秋の都大路を練り歩きます。列の長さは2㎞にも及びます。約12,000点にも及ぶ衣装、祭具、調度品は綿密な時代考証が行われて、細部に至るまで各時代を再現しています。
その豪華絢爛な時代絵巻は目を見張るばかり。京都に受け継がれてきた伝統工芸技術の粋を感じることができて、家族・ファミリー揃って感動します。
時代祭のスケジュール
実は「時代祭」は10月15日の参役宣状祭から10月23日の後日祭まで行われる祭典。どうしても10月22日の「時代行列」だけにスポットが当たりがちですが、前後にはこんな祭りの行事が組まれています。家族・ファミリーでの時代祭観賞の参考になると幸いです。
10月15日13:30~ 宣状祭
宣状祭(せんじょうさい)では行列の参役に選ばれた平安講社員(京都市民)が神前に無事執行を祈願します。宣状祭後には参役の任命書である宣状が平安講社員一人一人に授与されます。
10月20日9:00~ 鳳輦・祭具の倉出し
平安神宮の祭神である第50代天皇・桓武天皇、第121代天皇・孝明天皇が乗る2基の鳳輦(ほうれん)・祭具などを倉から出します。
10月21日10:00~ 前日祭
祭りの無事執行を祈り、献花などが行われます。
10月22日7:00~ 時代祭
総長・奉行が参列し、総長が平安講社を代表して祭文(さいもん)を奏上します。
10月22日8:00~ 神幸祭
神平安神宮の祭神である第50代天皇・桓武天皇、第121代天皇・孝明天皇の御霊代を2基の鳳輦(ほうれん)に移し、9:00に神幸列が平安神宮を出発して行在所に向かい、10:00頃に京都御所建礼門前に到着します。
10月22日10:30~ 行在所祭
平安神宮の崇敬者・市民代表が参列し、神饌講社(京都料理組合)が神饌を献じ、白川女が献花します。
10月22日12:00~ 行列進発
祭りのメインイベント。行列が明治維新から順に江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、延暦と時代をさかのぼって出発します。最後に神饌講社列・前列・神行列・白川女献花列・弓箭組列が京都御所を出発し、平安神宮に向かいます。
10月22日16:00~ 大極殿祭並還幸祭
時代行列が平安神宮に到着後、鳳輦を大極殿に奉安して、延暦文官参朝列の三位(さんみ)が祭文を奏上します。その後第50代天皇・桓武天皇、第121代天皇・孝明天皇の御霊代を鳳輦から本殿に移します。
10月23日10:00~ 後日祭
無事終了を奉告して、その後祭具などを倉に片付けます
「時代祭」のメイン:「時代行列」のルートと目安の通過時刻
「時代行列」のルート

平安神宮公式サイトより
「時代行列」の目安の通過時間
京都御所・建礼門前出発(12:00)→堺町御門(12:15頃)→烏丸丸太町(12:30頃)→烏丸御池(12:50頃)→河原町御池(13:20頃)→河原町三条(13:30頃)→三条大橋(13:40頃)→三条神宮道(14:10頃)→平安神宮(14:30頃)
13時頃には御池寺町、14時頃には平安神宮前で奉祝踊りが披露されて、家族・ファミリーで楽しめます。
家族・ファミリーでの祭観賞は有料観覧席がおすすめ
沿道で毎年、多くの人が観賞する時代祭。祭の列は約2㎞と長く、歩くスピードもゆっくりなので、通過するのも時間がかかります。時代祭では京都御所、御池通、平安神宮道の3箇所で有料観覧席を設けています。有料観覧席では椅子が用意されているので、椅子に座って行列を見ることができます。しかもパンフレットとオリジナル手提げ袋付きでとってもお得です。
家族・ファミリーもうっとり!祭りを彩る「時代行列」
訪れる家族・ファミリーの目を楽しませてやまない「時代行列」。ここでは8つの時代の20の列の概要を紹介します。行列を家族・ファミリーで観賞する時により一層楽しめる参考になると幸いです。
明治維新時代:維新勤王隊列
明治維新の際、東北地方で幕臣を中心に反抗した際に、丹波国北桑田郡山国村(現在・右京区京北)の有志が山国隊を組織して、官軍に参加した当時の行装を模した列です。
明治維新時代:維新志士列
明治維新に貢献した木戸孝允、西郷隆盛、坂本龍馬、中岡慎太郎、高杉晋作、吉田松陰、吉村寅太郎、頼三樹三郎、梅田雲浜、橋本左内など幕末の志士の姿を再現しています。
江戸時代:徳川城使上洛列
江戸幕府が大礼・年始などに将軍家名代である城使を上洛させて、皇室に礼を厚くした様子を再現しています。
江戸時代:江戸時代婦人列
時代に翻弄された皇女和宮をはじめ、歌舞伎の創始者とされる出雲阿国など江戸時代の京都で話題となり活躍した女性が登場します。当時の女性のファッションが忠実に再現されています。
安土桃山時代:豊公参朝列
慶長元年(1596)5月に豊臣秀吉の子・豊臣秀頼が朝廷に初参内した時と慶長2年(1597)9月に元服した時の参内の様子を再現しています。
安土桃山時代:織田公上洛列
永禄11年(1568)に織田信長が第106代・正親町天皇のお召しを受け、兵を率いて上洛する様子を再現しています。
室町時代:室町幕府執政列
足利将軍・三管領・四職などの武士の軽武装姿を再現しています。また御供衆(おともしゅう)・公家・法中(僧侶)・医師などの特色ある風俗を表現しています。
室町時代:室町洛中風俗列
16世紀に経済力を蓄えた京の町衆によって盛んに催された「風流踊り」を再現しています。
吉野時代:楠公上洛列
元弘3年(1333)5月に楠木正成が隠岐に流されていた後醍醐天皇を迎えて、先導して京に上洛する様子を再現しています。
吉野時代:中世婦人列
豊臣秀吉の側室・淀君、源義経の恋人・静御前、「十六夜日記」の著者・阿仏尼など平安時代後半から桃山時代に至る歴史上の人物をはじめ、中世の女性を再現しています。
鎌倉時代:城南流鏑馬列
承久の乱の前に後鳥羽上皇が朝廷の権力回復の為、城南離宮の流鏑馬に近畿地方の武士約1,700名を集めて、鎌倉幕府第2代執権・北条義時追討の準備をした様子を再現しています。
平安時代:藤原公卿参朝列
平安時代中期以降に摂関政治で隆盛を誇った藤原氏の文武両様の姿を再現しています。
平安時代:平安時代婦人列
木曽義仲の寵愛を受けた巴御前、建礼門院の雑仕女だった横笛、源義朝の側室・常盤御前、「枕草子」の著者・清少納言、「源氏物語」」の著者・紫式部・紀貫之の娘、女流歌人で六歌仙の一人・小野小町、平安遷都に尽力を尽くした和気清麻呂の姉・和気広虫、桓武天皇の女官・百済王明信といった平安時代を彩った女性の姿を再現しています。京都五花街の中から三花街が担当していて、その三花街の本物の芸妓さんが交代で参列しています。
延暦時代:延暦武官行進列
延暦20年(801)、征夷大将軍坂上田村麻呂が東征を終えて平安京に凱旋する様を表しています
延暦時代:延暦文官参朝列
平安遷都直後、延暦15年(796)、文官が朝賀の儀式のため参朝する様を表しています。
神饌講社列
時代祭当日の神饌物を奉献する役目の人達の行列です。
前列
神幸列の前を歩いているので前列といいます。御賢木(おんさかき)を先頭に、迦陵頻(かりょうびん)、胡蝶(こちょう)の舞人、さらに雅楽の伶人など優美な衣裳の列で、多数の狩衣装束のお供が従います。
白川女献花列
白川女は比叡山を源に発する白川の流域に住み、季節の花を売り歩くのを業とする女性。平安時代中頃から朝廷に花を届けていたといわれています。
弓箭組列
丹波国南桑田(現在の亀岡市)、船井(現在の南丹市)両郡には、源頼政に従って弓箭(きゅうせん)の術を究めた人が多く、その子孫も平素弓箭組を組織していました。 桓武天皇平安遷都の際その御列の警護にあたったとも、また、維新の際には山国隊とともに活躍したともいわれています。
「時代祭」家族・ファミリーにおすすめのホテル7選
ここで「時代祭」の行列のコースや有料観覧席にアクセスしやすいホテルを厳選して7つ紹介します。
ホテルオークラ京都
京都市の中心部河原町御池に位置していて、東山三十六峰の山並みが一望できる好ロケーションにあるホテル。館内は和とヨーロピアンイメージが調和していて、カップルが落ち着いて滞在することができます。レストランも京料理から中華、鉄板焼きなど多彩。「ホテルオークラ」に受け継がれてきているホスピタリティで家族・ファミリーにとって特別なひと時を過ごせます。
住所:京都市中京区河原町通二条南入 一之船入町537番地の4
アクセス:京都市営地下鉄京都市役所前駅直結
ソラリア西鉄ホテル京都プレミア三条鴨川
鴨川沿いに立地する観光に抜群のロケーションを誇るホテル。中庭および一部客室の庭園は世界的に活躍する 庭園デザイナー石原和幸氏が手掛けています。館内は和の風情を各所に散りばめられています。客室は伝統とモダンが調和した洗練された雰囲気。男女別の大浴場も備えていて、家族・ファミリーで湯浴みも楽しむことができます。
住所:京都市中京区木屋町通三条上る上大阪町509番地
アクセス:京都市営地下鉄東西線京都市役所駅より徒歩1分
三井ガーデンホテル京都新町別邸
コンセプトは「京都の伝統を継承し、再生する」。旧松坂屋京都仕入店に立地していて、新町通の街並みに調和するように外観デザインや、インテリアにもかつてあった柱梁や灯篭などを使用します。松坂屋が有している小袖をモチーフにしたモダンなアートワークが散りばめられていて、客室も障子窓や行灯照明などを用いた和モダン空間となっています。京都の「伝統と現在」を感じることができます。2014年グッドデザイン賞受賞。
住所:京都市中京区新町通六角下る六角町361番
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線四条駅22番出口より徒歩7分
ホテル日航プリンセス京都
四条烏丸に立地する家族・ファミリーの京都観光の拠点として便利なホテル。京都市民の台所、錦市場や祗園・先斗町も徒歩圏内。部屋は明るい色調でコーディネイトされていて、加湿空気清浄機、Wi-Fi(無線LAN)接続、睡眠研究から生まれた「エアウィーヴ」、デュベスタイルのベッド等アメニティグッズも充実していて、広めにゆったりとしているので家族・ファミリーで快適にくつろげます。
住所:京都市下京区烏丸高辻東入高橋町630番地
アクセス:京都市営地下鉄四条駅より徒歩3分
京都ブライトンホテル
京都御所の西側に位置するホテル。客室のテーマは「真のゆとりとくつろぎ」で広さは42㎡が基本。全ての部屋に洗い場付きのバスルームを備えていて、快適にカップルでくつろぐことができます。カジュアルな中にホテルらしい上質感を感じさせるテラスレストラン「フェリエ」をはじめ、京懐石や鉄板焼、中国料理などを家族・ファミリーで楽しめます。
住所:京都市上京区新町通中立売
アクセス:地下鉄烏丸線今出川駅6番出口より徒歩8分
ホテルモントレ京都
京都市とスコットランドのエジンバラ市が姉妹都市であることから、イングランド北方のスコットランドのアーツ&クラフトと古都エジンバラをテーマにデザインされています。 両都市は古い街並や伝統的な生活・文化などヨーロッパとアジアの美しい古都として、共通点が多く、デザインは共通の工芸に関わる文化をテーマに構成しています。ホテル最上階にある「スパ・トリニテ」では天然温泉に加えて、エステ、ボディケア、岩盤浴(女性のみ)を完備しています。
住所:京都市中京区烏丸通三条下ル饅頭屋町604
アクセス:地下鉄烏丸線・地下鉄東西線烏丸御池駅6番出口より徒歩2分
ザ ロイヤルパークホテル 京都三条
市営地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩約3分とアクセス抜群。客室はモノトーンを基調とした京都ならではの和のテイストを取り入れたモダンなデザインのインテリア。地下貯蔵庫を意識して作られたインテリアやワインセラーなどがあり、モダンで落ち着いた雰囲気の「京都洋食 ムッシュいとう」では約70種類から選べる和洋朝食ブッフェを家族・ファミリーで楽しめます。
住所:京都市中京区三条通河原町東入ル中島町74
アクセス:市営地下鉄東西線京都市役所前より徒歩約3分
まとめ
秋の都大路で繰り広げられるきらびやかな王朝絵巻は感嘆のひとこと。2022年は「時代行列」の日が土曜日になるので、家族・ファミリーで足を運びやすいです。家族・ファミリーで「時代祭」を楽しんでみてはいかがでしょうか。