四方を海で囲まれている日本では多くのフェリーが運行されています。近年は展望大浴場を備えるなど設備が充実して、「動く絶景ホテル」といっても過言ではありません。
フェリーとは
船舶のうち、河川、海上などで定期的に輸送を行なう船を渡船と呼んでいます。そのなかでもフェリーは人や物を輸送する船のことです。さらに、国土交通省海事局はフェリーを次のように2種類に分類しています。
- 中距離フェリー
- 長距離フェリー
長距離フェリーとは航続距離が300㎞以上の船、
航続距離が300km以上の船を長距離フェリー、100~300km未満の船が中距離フェリーと定義されています。陸上輸送のバイパス的な役割を果たす船舶と定義されています。
フェリーの魅力
家族旅行を楽しめる
フェリーにはマイカーを載せることができます。地方に行くと鉄道やバスなど公共交通機関も本数が限られていて、時間の制約が大きくなったり、効率よく観光できなかったりすることも多くなります。マイカーならそんな心配なく、自由度の高い旅を楽しむことができます。レンタカーを借りるという方法も確かにあります。だけど、レンタカーだと運転にもやっぱり気を使ったりしてしまうもの。日ごろから乗り慣れているマイカーなら安心度や快適度もよりアップ。荷物の心配もありません。到着したらすぐにマイカーで観光に行けるのも大きな魅力です。
ペットと一緒に旅を楽しめる
愛犬は「家族の一員」といった人も多いと思います。旅に出かけるならワンちゃんも一緒に連れていきたいもの。飛行機の場合、ペットは客室ではなく、貨物室で預かりということになります。もちろん最大限の輸送環境の維持に努めてくれるのですが、日常生活とは大きく異なる環境はペットにとって大きなストレスになり、健康状態に影響を与えかねないのも事実です。フェリーではペット同室OKの船もたくさんあります。乗船中はペットケージなどから出てワンちゃんも客室内でくつろぐことができます。便によってはドッグランを設置している船もあります。
日中の観光をフルに楽しめる
多くのフェリーは夜出発して、翌朝、目的地の港に到着します。到着後は自由観光。思い思いに観光を楽しむことができます。1泊分の宿泊代と交通費を節約することもできて一石二鳥です。
フェリーの全国航路
北海道から行くフェリー
北海道を発着するフェリーについて紹介します。
苫小牧発着
新日本海フェリー
苫小牧東港-秋田-新潟-敦賀 毎週土曜日運航/ 敦賀-新潟-秋田-苫小牧東港 毎週月曜日運航
苫小牧東港-秋田-新潟 月~土曜日運航
苫小牧東港-敦賀
太平洋フェリー 苫小牧-仙台
商船三井フェリー 苫小牧-大洗 1日2往復
シルバーフェリー 八戸-苫小牧 1日4往復
【苫小牧西港フェリーターミナル】
太平洋フェリー、商船三井フェリー、シルバーフェリーの船が発着。苫小牧駅から路線バスで約17分。苫小牧駅前1番のりば1番から24系統フェリー線のバスに乗車。
【苫小牧東港周文フェリーターミナル】
新日本海フェリーの船が発着。JR南千歳駅からフェリーの発着時刻にあわせて連絡バスが運行。所要時間約45分。
小樽発着
新日本海フェリー
小樽-舞鶴
小樽-新潟 月~土運航/ 新潟-小樽 火~日運航
【小樽フェリーターミナル】
JR小樽駅前バスターミナル4番のりばから北海道中央バスのぱるて築港線(JR小樽築港駅経由)「新日本海フェリー」行きのバスに乗車。
函館発着
津軽海峡フェリー 函館-青森 1日8便運航/ 函館-大間 1日2便運航
青函フェリー 函館-青森 1日8便運航
【函館フェリーターミナル】
津軽海峡フェリーはJR函館駅~開港通り入口~ラビスタ函館ベイ~フェリーターミナル間を運行する連絡バスに乗車。青函フェリーはJR函館駅前14番乗り場から北海道観光バスに乗車。
室蘭発着
シルバークイーン 室蘭-八戸
東北から行くフェリー
青森発着
津軽海峡フェリー 函館→青森 1日8便運航
青函フェリー 函館→青森 1日8便運航
【青森フェリーターミナル】
JR青森駅西口から車で約10分、徒歩で約45分。JR新青森駅より車で約10分、徒歩で約40分
秋田発着
新日本海フェリー 新潟-秋田-苫小牧東港(翌日16:45着) 月~土曜日運航
【秋田フェリーターミナル】
JR秋田駅より秋田中央交通セリオン行きのバスに乗車。セリオンバス停から徒歩約10分。
仙台発着
太平洋フェリー 苫小牧-仙台/ 仙台-名古屋
【仙台港フェリーふ頭】
JR仙台駅前から宮城交通仙台港フェリーターミナル行きのバスに乗車
関東から行くフェリー
大洗発着
商船三井フェリー 大洗-苫小牧 1日2往復
【大洗港フェリーターミナル】
鹿島臨海鉄道大洗駅から徒歩約20~30分、車で約5分。JR水戸駅から直通バスあり
東京発着
オーシャン東九フェリー
東京(有明)-徳島-北九州(新門司)
【東京港フェリーターミナル(有明)】 りんかい線国際展示場前下車。送迎タクシーに乗車。(送迎タクシーはフェリーの時刻にあわせて運航)
東海汽船
東京、横浜→大島、利島、新島、式根島、神津島
東京→三宅島→御蔵島→八丈島
【竹芝桟橋】 JR浜松町駅から徒歩約10分
中部から行くフェリー
新潟発着
新日本海フェリー
苫小牧東港-秋田-新潟月~土曜日運航
新潟→敦賀 毎週土曜日運航/ 敦賀→新潟 毎週日曜日運航
佐渡汽船
新潟→佐渡(両津) ジェットフォイル 1日5~9往復、季節により異なる/ カーフェリー 1日5往復
【新潟フェリーターミナル】
JR新潟駅からタクシーで約15分。
敦賀発着
新潟→敦賀 毎週土曜日運航/ 敦賀→新潟 毎週日曜日運航
【敦賀港(敦賀新港)】
JR敦賀駅からタクシーで約10分。JR敦賀駅から福井鉄道バスの連絡バスあり。
名古屋発着
太平洋フェリー 名古屋-仙台
【名古屋フェリー埠頭】
JR名古屋駅からあおなみ線で野跡駅下車。名古屋市営バスに乗車、約12分。JR名古屋駅から名鉄バス直行バス利用、約35分。
関西から行くフェリー
舞鶴発着
新日本海フェリー 舞鶴-小樽
【舞鶴フェリーターミナル】 JR東舞鶴駅から徒歩約25分、タクシーで7分
大阪発着
フェリーさんふらわあ 大阪南港-別府/ 大阪南港-志布志(鹿児島)
名門大洋フェリー 大阪南港-北九州(新門司)
四国オレンジフェリー 大阪南港発-東予(愛媛)
【大阪南港】
さんふらわあフェリーターミナル:
地下鉄中央線終点コスモスクエア駅、地下鉄四つ橋線終点住之江公園駅でニュートラム南港ポートタウン線に乗り継いで、トレードセンター前駅下車、徒歩5分
大阪南港フェリーターミナル(名門大洋フェリー、四国オレンジフェリー):
地下鉄中央線終点コスモスクエア駅、地下鉄四つ橋線終点住之江公園駅でニュートラム南港ポートタウン線に乗り継いで、フェリーターミナル駅下車、徒歩5分です。
泉大津発着
阪九フェリー 新門司-泉大津
【泉大津港】
「JR和泉府中駅 → 南海泉大津駅 → 泉大津フェリーのりば」「なんばOCAT → 泉大津フェリーのりば」の2つの経路の連絡バスあり
神戸発着
フェリーさんふらわあ 神戸-大分
阪九フェリー 神戸-新門司
【神戸港(六甲アイランド)】
阪神電鉄御影駅、阪急電鉄御影駅、JR住吉駅、六甲ライナーアイランド北口駅のいずれかのバス停から、神戸港フェリー連絡バスに乗車
宮崎カーフェリー 神戸-宮崎
ジャンボフェリー
神戸三宮→小豆島 神戸発 平日 1:00、6:00、13:30/ 土休日 1:00、8:00、11:20、19:20
【神戸三宮フェリーターミナル】 JR三ノ宮駅から連絡バスに乗車
姫路発着
小豆島フェリー 姫路→小豆島福田 1日7往復
中国・四国から行くフェリー
瀬戸内海は本州と四国および九州に囲まれ、紀伊水道と豊後水道で太平洋に、関門海峡で日本海に通じています。大小約 700 の島々が浮かんでいます。古代から日本の重要な海上交通路として利用されてきました。遣隋使、遣唐使の時代には都を出発した使節は瀬戸内海を通って大陸へ向かいました。奈良県の正倉院にはシルクロードを通じて西域からもたらされて海を渡ってきた収蔵品もありますが、こうした収蔵品も大陸から瀬戸内海を通って都に持ち込まれました。美しい島々や歴史ある町並み。見どころはつきません。瀬戸内海の「多島美」と「明石海峡大橋」「瀬戸大橋」「来島海峡大橋」の3つの橋のきらびやかな夜景など瀬戸内海の情景を楽しみながら移動することができます。
小豆島発着
ジャンボフェリー
小豆島→神戸三宮 小豆島発 平日 07:30、15:15、20:30/ 土休日 07:15、15:15、17:45、22:40
小豆島坂手→高松 1日3往復
小豆島フェリー 小豆島福田→姫路 1日7往復/ 小豆島土庄→高松 1日15往復/ 岡山→小豆島土庄 1日13往復
両備フェリー 小豆島土庄→新岡山 1日13往復
国際フェリー 小豆島池田→サンポート高松 1日8往復
内海(うちのうみ)フェリー 小豆島草壁→高松 1日5往復
高松発着
ジャンボフェリー 小豆島坂手→高松 1日3往復
小豆島フェリー 小豆島土庄→高松 1日15往復
国際フェリー 小豆島池田→サンポート高松 1日8往復
内海(うちのうみ)フェリー 小豆島草壁→高松 1日5往復
【高松港フェリー乗り場】 JR高松駅から徒歩約10分
徳島発着
オーシャン東九フェリー 北九州-徳島-東京(有明)
南海フェリー 徳島→和歌山 1日8往復
東予(愛媛)発着
四国オレンジフェリー 東予-大阪南港
新居浜発着
九四オレンジフェリー 新居浜-神戸
八幡浜発着
宇和島運輸フェリー 八幡浜ー別府 1日6往復/ 八幡浜ー臼杵 1日8往復
九四オレンジフェリー 八幡浜-臼杵 1日7往復
【八幡浜港】
JR八幡浜駅よりタクシー約5分、徒歩約30分。伊予鉄道もしくは宇和島自動車のバス乗車
松山発着
松山・小倉フェリー株式会社 松山-小倉
石崎汽船株式会社 松山-呉-広島
防予フェリー 三津浜(松山)-伊保田(山口県周防大島)-柳井(山口)
【松山観光港】
松山市内から松山観光港リムジンバスに乗車。伊予鉄道高浜駅下車、高浜駅から連絡バスに乗車
九州から行くフェリー
新門司発着
名門大洋フェリー 門司-大阪
阪九フェリー 門司-泉大津/ 神戸-新門司
オーシャン東九フェリー 東京-徳島-北九州
【新門司フェリーターミナル】
JR小倉駅またはJR門司駅から無料連絡バス(名門大洋フェリー、阪九フェリー)、JR門司駅より送迎タクシー(オーシャン東九フェリー)
福岡発着
九州郵船
博多ー郷ノ浦(壱岐)1日3往復 / 博多ー芦辺(壱岐) 1日3~5往復 季節によって異なる
博多-芦辺(壱岐)-厳原(対馬)1日3~5往復 季節によって異なる
博多ー郷ノ浦(壱岐)-厳原(対馬)1日3~5往復 季節によって異なる
博多ー比田勝(対馬)1日2往復
JR九州高速船 博多-釜山
【博多港】
JR博多駅もしくは西鉄福岡駅から西鉄バスに乗車、博多ふ頭下車。
別府・大分発着
フェリーさんふらわあ 大分-神戸/ 別府ー大阪
宇和島運輸フェリー 別府-八幡浜 1日6往復
国道九四フェリー 佐賀関(大分)-三崎(愛媛)1日16往復
【別府国際観光港】
JR大分駅もしくは別府駅から大分交通バスに乗車、「別府国際観光港」下車。
JR別府駅から亀の井バスに乗車、「別府国際観光港」下車。
【大分港】
JR西大分駅下車、徒歩約10分。JR大分駅から大分交通バス別府方面行き(関の江・鉄輪・国東)に乗車 、「王子港町」下車徒歩約4分
【佐賀関港】
JR幸崎駅下車、タクシーで約15分もしくは大分バス乗車、古宮バス停下車、徒歩約3分
臼杵発着
宇和島運輸フェリー 臼杵-八幡浜 1日8往復
九四オレンジフェリー 臼杵-八幡浜 1日7往復
【臼杵港】JR臼杵駅から徒歩約10分
長崎発着
九州商船 長崎-五島(福江、奈留島、奈良尾)
1日3~4往復(ジェットフォイル)/ 1日2~3往復(フェリー)
【長崎港ターミナルビル】JR長崎駅から徒歩約15分
島原発着
九商フェリー 長崎-熊本 1日10往復
宮崎発着
宮崎フェリー 宮崎-神戸
フェリーのりば
のりばの主な施設
チケットカウンターに加えて、レストランや喫茶、お土産屋さんなどがあります。
のりばでの主な乗船手続き
フェリー会社によって異なりますが、大まかに次のような流れになります。港にに着いたら、まず「乗船手続き」をします。この時、多くのフェリー会社では「乗船名簿」と呼ばれる専用の紙に住所・氏名などを記入する必要があります。「乗船名簿」はターミナルのテーブルに筆記用具と一緒に置かれています。乗船名簿に記入せずにカウンターに並ぶと、並びなおしになる可能性があります。旅行会社で予約した場合に発行される紙は乗船券ではありませんので、その場合もこの手続で交換が必要です。車を載せる場合は車検証も必要になりますので車から持っておりましょう。乗船開始時刻になったら、乗船口に移動してフェリーに乗ります。車を載せる場合は車に乗って乗船開始時刻を待ちます。窓口が混雑することも予想されます。時間には余裕をもって港に向かった方がいいでしょう。
フェリーの部屋タイプ別料金
フェリーには飛行機や鉄道以上にたくさんの客室のカテゴリーがあります。客室のカテゴリーの分け方はフェリー会社によって異なり、呼び方も多彩です。大きくわけて「個室」と「相部屋」に分けることができます。「個室」はホテルの部屋と同じでプライベートの空間が確保されています。「個室」には窓がある部屋、ない部屋があり、窓がない部屋の方が安いです。中にはバス・トイレも完備していて、「専用バルコニーがある」「リビングとベッドルームが分かれている」といったホテルのスイートルームのような部屋もあります。近年はプライベートを重視する傾向が強まり、個室の比率が高くなっています。相部屋には1人1人のベッドがある部屋と、大広間に布団を並べて寝る大部屋の2つのタイプがあります。1人1人のベッドがある部屋はゲストハウスのドミトリーをイメージすればわかりやすいかと思います。相部屋のメリットはやはり安さに尽きます。また「女子旅」にも安心な「女性専用フロア」を設けている航路もあります。
フェリーのマイカー料金
車やバイクを船で運ぶ料金を「自動車航送運賃」と呼びます。「自動車航送」とは車やバイクをフェリーを含めた船舶で運ぶ専門用語で、「海上運送法」という法律で規定されています。「自動車航送運賃」はフェリー会社によってまちまちです。「3m未満」から1m毎に運賃が細かく定められています。「自動車航送運賃」には運転手1名の一番安いカテゴリーの船室に乗船する場合の運賃が含まれています。上のカテゴリーの船室を希望する場合は部屋代金の差額を追加して払えば、もちろん予約することができます。家族旅行など同乗者については、一般の「旅客運賃」がかかります。また車だけフェリーで送って、自身は鉄道や飛行機で移動する「無人航送」を受け付けているフェリー会社もあります。その場合、「無人航送」ということで受け付けてくれますが、車の積み込み、積み下ろしをフェリー会社に委託する積込み料金、積降ろし料金が別途かかります。
フェリーのバイク料金
バイクや自転車については、「特殊手荷物料金」という料金を払う必要があります。「特殊手荷物料金」は運転者とは別料金になります。料金はフェリー会社によって異なりますが、バイクについては125CC未満、125CC以上~750cc未満、750CC以上の3つの区分に分かれています。
フェリーの予約方法
フェリーのHPから予約
フェリーの予約は各フェリー会社の公式ウェブサイトや電話などで予約を受け付けています。予約開始日はフェリー会社によって異なりますが、「さんふらわあ」を例による乗船予定日の3か月前、阪九フェリーは2か月前からです
旅行会社で申し込む
フェリーを取り扱っている旅行会社から申し込むこともできます。
フェリーの比較・検討してからの予約は代理店がおすすめ
港によっては複数のフェリー会社の航路が就航していることもあります。また下船後、宿泊する場合、フェリーの他にホテルの手配も必要になります。旅行代理店で予約すると、旅の目的や予算に応じた最適な航路の紹介、下船後のホテル、レンタカー、入場券類などの手配も一括して頼めます。フェリーの予約は代理店がおすすめです。
自家用車やバイク、自転車を載せることができる、ペットを同伴することも可能なフェリー。近年は展望大浴場を備えるなど設備が充実して、「動く絶景ホテル」といっても過言ではありません。意外と現地でしっかりと観光を楽しめる時間を確保できて、バリエーションのある旅行を可能にすることができる移動手段です。フェリーで訪れる「日本再発見の旅」に出かけてみてはいかがでしょうか。