日本各地にはまだまだ知られていない温泉がたくさんあります。「秘湯」ともいえる温泉は人里離れた豊かな自然を楽しむことができ、何かとストレスを感じることができる現代社会の中で、日常を忘れたひと時を過ごすことができます。そんな秘湯の一つ、大牧温泉を紹介します。
大牧温泉
大牧温泉は寿永2年(1183年)に砺波山の合戦で木曽義仲に敗れた平家の武将が追撃を逃れ隠れ家を求めて大牧の辺りをさまよっていた時、河畔からコンコンと湧き出る温泉を発見し、その湯を口にし湯あみをして創傷の身を治したのが始まりと言われます。温泉の大部分は昭和5年(1926)に完成した当時「東洋一のダム」と謳われた小牧ダムのダム湖に沈んでしまいました。
庄川遊覧船
小牧ダムには、庄川遊覧船が運航する大牧温泉行きの遊覧船乗り場があります。国道156号が五箇山方面に整備されていない頃には、冬季の重要な交通路として活用されていました。現在、小牧港を発着して大牧温泉を周回する「大牧温泉コース」と、長崎橋を周回する短時間の「長崎橋周遊コース」の2コースが運航されています。「大牧温泉コース」は大牧温泉旅館に「日帰り予約」もしくは「宿泊予約」をしている人以外は下船できません。
大牧温泉観光旅館
大牧温泉にある唯一の旅館、大牧温泉観光旅館は庄川峡遊覧船のルートにあります。船でしか行くことができないまさに「秘境の宿」です。温泉は内風呂が男女各1つずつ、露天風呂が男女各2つずつあります。宿では富山の海の幸・山の幸をぶんだんに使った料理を楽しめます。
大牧温泉へのアクセス
北陸新幹線新高岡駅南口バスターミナル「3番」乗り場から、あいの風とやま鉄道線高岡駅古城公園口(北口)バスターミナル「2番」乗り場から小牧行のバスに乗って終点の 「小牧」で 下車、庄川遊覧船に乗船します。
他にも大分県にある法華院温泉山荘は「坊がつる讃歌」でおなじみのくじゅう連山にあります。かつては鎌倉時代を開基とする九重山法華院白水寺として栄えた天台宗の一大霊場で、明治維新以後、信仰の山から登山の山へと変化する中で明治15年(1882)に山宿がスタートしました。初夏にミヤマキリシマが咲き誇ってまばゆいばかりの鮮やかな景観を楽しめます。まだまだ知られていない「日本の秘境」を訪れて日常を離れたひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。