春といえば桜。お出かけでお花見に行くという家族も多いと思います。日本列島では各地できれいな桜が咲き誇りますが、中でも特におすすめの桜の名所をエリア別に分けて紹介します。ここでは古都・奈良、湖国・滋賀、そして和歌山県のおすすめのお花見スポットを厳選して紹介します。
桜のおもな種類
桜は万葉集や古今和歌集でも詠まれているほど、古くから日本人を魅了してきた花。日本で見られる桜の種類はとても500種類以上に及ぶといわれています。まずはそんな桜の中でも代表的な品種について紹介します。
ソメイヨシノ
日本で最も有名な桜。江戸末期~明治初期頃から園芸品種として栽培されていて、当時の染井村(東京都豊島区駒込あたり)の植木職人や造園師が、オオシマザクラとエドヒガンを交配させてつくったといわれています。花弁は5枚あり、咲き始めは淡い赤色で、満開になると白色に近い色になります。
ヤマザクラ
古くから和歌に詠まれて親しまれてきた日本で最も代表的な桜の品種です。山地に広く自生していて、関東、中部以南でよく見られます。花と同時に葉が出るのが特徴で、花弁は5枚、色は白っぽいものからピンクまでバリエーション豊かです。白色や先端だけ色が濃い花を咲かせることももあります。葉は赤紫色や褐色など、様々な色に変化します。
オオヤマザクラ
ヤマザクラより花や葉が大きく、寒さに強い品種です。花は3cmから5cmで、濃いピンク色です。樹高は7m~15mほどですが、中には20m程度まで成長することもあります。
エドヒガンザクラ
本州・四国・九州の山地でよく見られる品種で、樹高は15~25m、楕円形の葉が特徴です。花弁は5枚で一重、色は薄紅色から白に変わります。丈夫で花がたくさん咲くため、多くの品種の母種として使われています。
オオシマザクラ
伊豆半島の沖に浮かぶ伊豆大島が名前の由来です。花弁は5枚で白色、淡い香りがします。葉と花が同時に成長していくのも特徴です。桜餅の塩漬けの葉っぱにはオオシマザクラの葉が使われています。
カワヅザクラ
早咲きの桜として有名な品種です。静岡県河津町の河津川沿いで、1mほどの原木が偶然発見されたのが始まりです。カンヒザクラとオオシマザクラの自然交雑種と見られていて、花は直径約3cmのピンク色、もしくは淡い紅色で、花序は散房状で4〜5花からなります。
【奈良】家族・ファミリーで楽しめる桜の名所
吉野山(奈良県吉野町)
世界遺産・吉野山の桜は今から1,300年前、修験道を開いた役行者が吉野山山上に金峯山寺を開いた際に蔵王権現の姿をヤマザクラの木に刻んだことに由来していて、以後、桜は「ご神木」として大切にされるようになりました。その後、参拝に訪れた信者たちから桜の苗木が寄進され、現在では吉野山全体でを約3万本もの桜が植えられています。
吉野山は吉野ロープウェーの吉野山駅を起点に麓から下千本、中千本、上千本、奥千本と大きく4つのエリアに分けられています。麓側の下千本から桜は開花し始めて、中、上、奥千本と順に開花していきます。開花時期がずれるため、約1か月にわたって桜を楽しむことができます。
高見の郷(奈良県東吉野村)
近年人気が高まっている桜の名所。高見山の近くにある標高650mの展望台からシダレザクラが約1,000本咲き誇ります。青い山々の連なりを背後に一重・八重の桜が花霞を呈します。濃淡のピンクのユキヤナギの白、レンギョウの黄とが彩る「天空の花園」高みの展望台からは眺める桜はまさに絶景です。
住所:奈良県吉野郡東吉野村杉谷298-1
アクセス:近鉄榛原駅よりタクシーで約40分(桜の時期には臨時バスあり)
奈良公園(奈良県奈良市)
東大寺や春日大社、興福寺といった日本を代表する寺社仏閣が建ち並ぶ古都奈良の中心地。「正倉院展」でおなじみの奈良国立博物館も公園内にあります。総面積は約660ha。若草の芝生に覆われ、園内は国の天然記念物のシカが愛らしく歩き回っています。
遠くに故郷への思いに駆られた阿倍仲麻呂が唐で詠んだ歌「天の原 ふりさけ見れば 春日なる三笠の山に 出でし月かも」でおなじみの風光明媚な若草山(三笠山)を眺めながら春の桜、秋の紅葉など四季折々の自然景観と古都奈良の悠久の歴史を感じさせる風格ある堂塔伽藍を巡ることができます。
郡山城跡(奈良県郡山市)
織田信長の時代に、筒井順慶が築城。豊臣秀吉の時代に、豊臣秀長が百万石の居城となり、大幅に拡張されました。明治維新後、多くの建物が取り壊されましたが、近年、追手門・櫓・天守台などが修復・整備されています。
春には桜が咲き誇り、桜の時期にあわせて「大和郡山お城まつり」も開催。近鉄電車の車内からも咲き誇る桜の花を眺めることができます。
住所:大和郡山市城内町
アクセス:近鉄郡山駅より徒歩約7分
長谷寺(奈良県桜井市)
白鳳時代に僧道明上人が天武天皇のために銅板法華説相図を西の岡に安置したことが始まりと伝えられる古刹です。平安時代には貴族、江戸時代には徳川家の崇敬を集め帰依を受けて栄えました。
国宝に指定されている舞台造の本堂は江戸時代に徳川家光によって再建されました。本尊十一面観音像をはじめ、約千点にも及ぶ文化財を所しています。仁王門を抜け、本堂へと続く国指定重要文化財の登廊は399段に渡る石段になっていて、天井には楕円形の灯籠が吊られています。
境内には約1,000本のソメイヨシノ、ヤマザクラ、ヤエザクラなどが咲き乱れ、特ににシダレザクラが見ごたえ抜群です。
住所:奈良県桜井市初瀬731-1
アクセス:近鉄長谷寺駅より徒歩約15分
高田千本桜(奈良県大和高田市)
1948年(昭和23年)に市制施行を記念して植樹された桜。大中公園を中心に川の両岸南北2.5キロメートルにわたって桜並木が続きます。夜はライトアップが行われて、夜桜見物も楽しめます。
住所:奈良県大和高田市大中183
アクセス:近鉄高田駅より徒歩約13分、高田市駅より徒歩約10分
又兵衛桜(奈良県宇陀市)
樹齢300年を超えるといわれている見事なシダレザクラが見ごたえ抜群。大坂夏の陣で活躍した戦国武将後藤又兵衛の屋敷跡にあると伝わることから、地元で「又兵衛桜」と呼ばれて親しまれています。
住所:奈良県宇陀市本郷
アクセス:近鉄榛原駅よりバス、「大宇陀高校前」バス停下車 徒歩15分
【滋賀】家族・ファミリーで楽しめる桜の名所
海津大崎
琵琶湖八景「暁霧・海津大崎の岩礁」としても知られる景勝地です。琵琶湖岸の約4㎞にわたって約800本のソメイヨシノが可憐に咲き誇ります。琵琶湖随一の岩礁と、青々としたっ湖、遠くに望む竹生島が織り成す景観の絶妙なコントラストも見どころです。桜の開花時期にはお花見船が運航され、船上から湖畔に咲き誇る桜を眺めることができます。
住所:滋賀県高島市マキノ町海津
アクセス:JRマキノ駅からバス、「海津大崎口」バス停下車、徒歩約5分
彦根城跡
譜代大名井伊氏の居城だった琵琶湖畔に佇む城。三層三階の天守は「現存十二天守」の一つで国宝に指定されています。 屋根は「切妻破風」「入母屋破風」「唐破風」を多様に配していて、2階と3階には「花頭窓」、3階には高欄付きの「廻縁」が巡らされている美しい外観の建物です。内濠や中濠が完全に残っているのも大きな特徴。
ソメイヨシノをはじめとする8種類の桜の木1,300本が植えられていて、白壁と桜の色彩が織り成す美しい景観を楽しめます。「さくら名所100選」に選ばれていて、彦根城は「日本100名城」に指定されています。
住所:滋賀県彦根市金亀町1−1
アクセス:JR彦根駅より徒歩約15分
琵琶湖疏水
琵琶湖の水を京都に引くために明治時代に建設された琵琶湖疏水。両岸にはソメイヨシノ、ヤマザクラの桜並木が続きます。見ごろの時期にはライトアップも行われ、夜桜見物を楽しめます。
住所:滋賀県大津市観音寺
アクセス:京阪三井寺駅下車、徒歩約5分
三井寺
三井寺は、正式名称を「長等山園城寺(おんじょうじ)」といい、天台寺門宗の総本山です。寺は7世紀に創建されて平安時代、第五代天台座主・智証大師円珍和尚によって天台別院として再興されました。
境内に天智・天武・持統の三天皇の御産湯に用いられたとされる霊泉(井戸)があることから、「御井(みい)の寺」と称され、後に「三井寺」と通称されるようになりました。国宝の金堂を始め、西国第十四番札所の観音堂、釈迦堂、唐院など多くの堂舎が建ち並び、国宝・重要文化財は100点以上にのぼります。
見ごろの時期には広大な境内に咲き誇るヤマザクラとソメイヨシノで鮮やかなピンク色に彩られます。
住所:滋賀県大津市園城寺町246
アクセス:京阪三井寺駅下車、徒歩約7分
石山寺と瀬田川流域
石山寺は、西国三十三所観音霊場の第十三番札所で、真言宗の大本山にあたる寺院。奈良時代に聖武天皇の発願により、良弁によって開かれました。安産・福徳・厄除・縁結のご利益があるといわれています。
境内に四季折々の花が咲き誇ることから、「花の寺」としても知られています。また紫式部が「源氏物語」の構想を練った寺としても有名です。春になるとシダレザクラ、ヤマザクラ、ソメイヨシノが境内に咲き誇ります。
住所:滋賀県大津市石山寺1-1-1
アクセス:京阪石山寺駅下車、徒歩約10分
【和歌山】家族・ファミリーで楽しめる桜の名所
和歌山城跡(和歌山県和歌山市)
紀州徳川藩55万5千国の居城だった和歌山城。虎伏山に建つ「和歌山のシンボル」です。白亜の三層の大天守閣は虎伏山の頂上に位置していて、市街地を四方に見下ろすことができます。
城内にはソメイヨシノを中心に約600本の桜が咲き乱れ、岡口門から二の丸庭園まで風情ある桜並木が続きます。一の橋付近のシダレザクラも見ごたえ抜群。夜はライトアップも行われます。
住所:和歌山県和歌山市一番丁3
アクセス:JR和歌山駅よりバス、「和歌山城前」バス停下車
紀三井寺(和歌山県和歌山市)
紀三井寺は奈良時代後期に開基された1200年以上の歴史を持つ古刹。楼門から続く231段の階段中腹には山中に湧き出る清浄水、楊柳水のほか、少し離れたところには吉祥水があります。これらは「三井水」と呼ばれ、寺の名前の由来となっています。
ソメイヨシノ、ヒガンザクラなど約400本の桜が咲き、木々の間に朱色の多宝塔や鐘楼が点在していてとっても華やか。松尾芭蕉の句にも詠まれている古くからのお花見スポットです。
住所:和歌山県和歌山市紀三井寺1201
アクセス:JR紀三井寺駅を出てすぐ
道成寺(和歌山県日高川町)
能や歌舞伎で有名になった「安珍清姫」伝説で知られている天台宗の古刹。大宝元年(701年)に創建された和歌山県最古の寺で、宝仏殿には国宝に指定されている千手観世音菩薩や日光・月光菩薩などが安置されています。
本堂の周りのシダレザクラをはじめ、エドヒガンやソメイヨシノなど、約300本が咲き誇り、境内は華やかな雰囲気に包まれます。
住所:和歌山県日高川町鐘巻1738
アクセス:JR道成寺駅から徒歩7分
まとめ
関西地方で奈良県、滋賀県、和歌山県で家族・ファミリーにおすすめの桜の名所を紹介しました。奈良県内の寺社仏閣では桜の時期にあわせて、普段見ることができない仏像やお堂の特別開帳や特別拝観が行われていて、お花見と一緒に楽しめます。お花見に出かける家族・ファミリーの参考になると幸いです。