家族旅行はいつまで経ってもかけがえのない思い出になります。日常を離れて、家族水入らずで過ごすひと時は、「家族の絆」を改めて感じることができるいい機会。秋といえば紅葉。日本全国各地で自然が織りなす色彩の世界を堪能することができて、家族・ファミリーでそろって楽しむことができます。ここでは一番人気・京都の紅葉スポットをエリア別に紹介します。
東山・祇園エリア
清水寺
「清水の舞台」で知られる清水寺。清水寺は平安時代初期に征夷大将軍として知られる坂上田村麻呂によって創建されました。「枕草子」で知られる清少納言も参拝したといわれています。境内は音羽山の山裾一帯に広がっていて、秋は紅葉と堂塔伽藍が調和して美しい景観です。紅葉の時期には夜間特別拝観が実施され、ライトアップが行われます。
秋の夜間特別拝観 2024年11月18日~30日 21:30まで開門(21:00受付終了)
南禅寺
南禅寺は臨済宗南禅寺派の大本山。京都五山の別格として上に置かれた日本で最も格式の高い禅寺です。紅葉の見どころは塔頭のひとつ天授庵。池泉回遊式庭園と枯山水庭園の2つの庭園があり、枯山水庭園では紅葉と白砂の美しいコントラストを見ることができます。
永観堂
平安時代から「もみじの永観堂」と讃えられてきた京都屈指の紅葉の名所。境内には約3,000本の紅葉が群生していて、池泉回遊式庭園を彩り、多宝塔や御影堂を華やかに引き立てています。古今集にも詠まれた「岩垣もみじ」も見ることができます。紅葉の時期には夜間特別拝観が行われ、ライトアップも行われます。
ライトアップ 2024年11月11日(月)~12月1日(日) 17:30~20:30
高台寺
豊臣秀吉の正室、ねねで知られる北政所ゆかりの臨済宗建仁寺派の禅寺です。慶長11年(1606)に秀吉の霊を弔うために北政所によって創建されました。庭園は小堀遠州が手掛けたもの。書院と開山堂を結ぶ屋根つき廊の途中にある観月台は伏見城から移築されたもので北政所が亡き秀吉をしのんで月を眺めたといわれています。紅葉シーズンのライトアップは大人気。「臥龍池(がりょうち)」に映し出される紅葉は「SNS映え」する美しさです。
秋のライトアップ 2024年10月下旬~12月8日(日)17:00(点灯)~22:00(受付終了21:30)
哲学の道
「哲学の道」は京都市左京区にある琵琶湖疎水分線に沿った1.5キロほどの歩道で、「日本の道100選」に選ばれています。美しい紅葉を楽しむことができる紅葉の名所としても知られています。
知恩院
浄土宗の総本山。建暦2年(1212)に法然が他界した後、弟子たちが廟堂を建てたのが始まりです。三門や御影堂は国宝、方丈や唐門、勢至堂、大鐘楼などは国指定重要文化財に指定されています。「鴬張りの廊下」をはじめ「知恩院の七不思議」も見どころ。広大な境内の至る所で紅葉を楽しむことができて、夜はライトアップも行われます。
秋のライトアップ2024:2024年11月14日(木) ~ 12月1日(日) 17:30~21:30(21:00終了)
青蓮院
天台宗の門跡寺院。天台宗総本山比叡山延暦寺の三門跡の一つです。相阿弥作の池泉回遊式庭園と小堀遠州作の霧島の庭が配されていて、趣のある紅葉が庭園を彩ります。
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嵐山・嵯峨・高雄エリア
嵐山
平安時代には貴族の別荘地として栄えた、風光明媚な京都を代表する観光スポット嵐山。国の史跡および名勝に指定されています。桂川にかかる嵐山のシンボル「渡月橋」や野宮神社から天龍寺、大河内山荘庭園まで青々とした竹が伸びる「竹林の小径」など京都らしい見どころがいっぱい。秋は紅葉の名所として大変にぎわいます。
天龍寺
臨済宗天竜寺派の総本山で京都五山の第一位を占めていた由緒ある寺院。足利尊氏が後醍醐天皇の霊を慰めるため造営しました。「曹源池庭園」は亀山や嵐山を借景にした池泉廻遊式で優美な王朝の大和絵風の伝統文化と宋元画風の禅文化が巧みに融け合った独特の美しさが魅力です。 紅葉シーズンが訪れると境内のカエデやツツジ、桜など数多くの木々たちが色鮮やかに染まります。
神護寺
高雄山の中腹にある真言宗の古刹。和気清麻呂による創建。 国宝の薬師如来像をはじめ、平安時代初期から鎌倉時代初期にわたる多くの寺宝や日本三名鐘のひとつとされる国宝の梵鐘を有します。京都市内でも早めに色づき始める、京都屈指の紅葉の名所です。山門への古びた石段に赤や黄のカエデが葉を落とす風景や、境内に入ると葉の合間に堂や塔が見え隠れする風情たっぷりの景観を楽しめます。特に金堂前の石段、両側のモミジが見ごたえ抜群です。
宝厳院
大本山天龍寺の塔頭寺院。回遊式山水庭園「獅子吼(ししく)の庭」は、嵐山の景観を取り入れた借景式山水庭園。紅葉シーズンには、カエデやイチョウなどが色づき、より豊かな庭の彩りを楽しめます。夜間特別拝観が行われ、ライトアップされた幻想的な景観を楽しめます。
秋の夜間特別拝観 2024年11月15日(金)~12月8日(日)17:30~20:30(20:00受付終了)
常寂光寺
百人一首で詠まれる小倉山の中腹のある日蓮宗の寺院。「小倉百人一首」を定めた藤原定家の山荘があったとされる場所には碑が建てられています。入口の山門から仁王門までの参道は、まさに「紅葉のトンネル」。境内の庭園には約200本のカエデが植えられていて、秋には全山が紅葉に包まれます。嵯峨野を一望できる眺望もおすすめです。
清涼寺
「嵯峨の釈迦堂」で知られる寺院です。元々は源融(みなもとのとおる)の山荘棲霞観(せいかかん)があったが、後に寺となって棲霞寺と名づけられました。本堂裏から阿弥陀堂周辺にかけてはモミジがあって、色とりどりの紅葉を楽しめます。
嵯峨野トロッコ・保津川下り
JR嵯峨嵐山駅のそばにあるトロッコ嵯峨駅と戦国武将明智光秀の居城だった亀山城がある亀岡市のトロッコ亀岡駅の間7.3㎞を25分でつなぐ観光列車。保津川渓谷を彩る美しい紅葉を満喫することができます。船上から紅葉を楽しめる「保津川下り」もあわせておすすめです。
洛北エリア
仁和寺
仁和寺は光孝天皇の勅願によって造営がはじまり、宇多天皇の仁和4年(888)に創建された寺院。以来、法親王が住持し「御室御所」と呼ばれました。門跡寺院として格式が高く、また、「徒然草」「方丈記」など古典にも数多く登場します。国宝の金堂は内裏紫宸殿を移築したもので、当時の宮殿建築を伝える貴重な建物。春の「御室桜」が有名ですが秋の紅葉も見ごたえ抜群です。
龍安寺
枯山水の石庭で日本史の教科書などでもおなじみの寺院。正式には「方丈庭園」といい、幅25m、奥行き10mの広さがある、約75坪の枯山水庭園には一面に白砂が敷かれており、その上に大小15個の石が配されているのが特徴です。秋になると境内は一面の紅葉で彩られて、枯山水の石庭に彩を添えます。
北野天満宮
天暦元年(947)に創建された、学問の神様として知られる全国に約1万2000社ある天神社・天満宮の総本社。菅原道真を祀っています。菅原道真は藤原時平の讒言によって大宰府に左遷され、失意のうちに没しました。その後、都では落雷などの災害が相次ぎ、これを道真の祟りとして恐れ、造営されました。梅の花で有名ですが、「史跡・御土居のもみじ苑」の紅葉も圧巻。境内全域でライトアップが行われ幻想的な空間を楽しめます。
秋の夜間特別拝観 2024年11月9日(土)~12月8日(日)日没~20:00(受付終了19:40)
瑠璃光院
格調高く落ち着いた雰囲気の数寄屋造りの建物に加えて、庭園が周囲の自然と調和していて、「和」の情緒たっぷり。通常は非公開。春の青もみじと秋の紅葉の時期だけ公開されています。
曼殊院門跡
天台宗の開祖である最澄により創建され、「小さな桂離宮」ともいわれる洛北屈指の名刹。境内ではキリシマツツジをはじめ、椿、梅、ソメイヨシノ、サルスベリなどの花が四季を通じて咲き誇ります。秋になるとカエデと枯山水庭園のコラボレーションを家族・ファミリーでたっぷり堪能することができます。
岩倉実相院門跡
元天台宗寺門派の門跡寺院で、寺内には二つの庭と狩野派によって描かれた襖絵を所蔵し、天皇家ゆかりの宝物が多数収蔵されています。奥の書院と客殿との間にある山水庭園と比叡の山並みを借景とした雄大な石庭があります。秋の滝の間の磨き上げられた床板に映る「床もみじ」が人気です。
圓光寺
徳川家康が伏見に開いた洛陽学校がはじまりです。山門を入ると枯山水の庭園「奔龍庭」が眼前に広がり、更に中門を抜けると苔と紅葉で有名な池泉回遊式庭園「十牛之庭」があります。2022年は紅葉の時期は全て事前予約制となります。
賀茂別雷神社(上賀茂神社)
京都最古の神社。賀茂御祖神社(下鴨神社)とともに山城国一之宮という格式の高い神社国宝に指定されている本殿は流造神殿の典型で、同じく国宝の権殿と共に三間社流造です。この外社域にある中門、幣殿など40棟の建物の多くは国指定重要文化財です。
秋になると広大な敷地のあちこちで木々が色づいて境内を彩ります。二の鳥居やならの小川の橋殿、渉渓園など見どころも多く、モミジが真っ赤に染まる日本情緒あふれる景観を家族・ファミリーで楽しめます。初夏の京都を優雅な行列で彩る「京都三大祭」の一つ、葵祭は賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭です。
洛南エリア
東福寺
JR京都駅からも近い臨済宗東福寺派の総本山で京都五山の一つ。「伽藍面」と呼ばれるスケールの大きな七堂伽藍が魅力です。禅宗伽藍を代表する室町最古で国宝の三門(国宝)をはじめ、国指定重要文化財の浴室、東司(便所)禅堂など室町時代の禅僧の生活を知る上で貴重な建築が残されています。
境内を横切るように流れる川の周囲に広がる渓谷「洗玉澗」にかかる通天橋、臥雲橋から眺める紅葉が絶景。特に通天橋から眺める景観は「錦の雲海」と呼ばれています。秋の特別公開も毎年、実施されています。数々の国宝・国指定重要文化財を有する寺院です。
醍醐寺
真言宗醍醐派の総本山。平安時代初期の874年に弘法大師空海の孫弟子、理源大師聖宝によって開創されました。醍醐山全体を寺域とし、山上の上醍醐、山下の下醍醐からなる広い境内を持ちます。
本尊「薬師如来坐像」が安置されている金堂や京都最古の建造物とされる五重塔はいずれも国宝。三宝院の国宝・表書院は寝殿造の様式を取り入れた桃山建築。国の特別名勝・特別史跡に指定されている三宝園庭園は豊臣秀吉が自ら設計したといわれています。
春の桜とあわせて秋の紅葉も見ごたえ抜群。特に弁天堂付近の紅葉は圧巻です。国宝・重要文化財を含む、建造物・仏像・絵画・文書など約10万点に及ぶ文化財を所蔵しています。霊宝館では秋に特別公開が行われ、貴重な文化財の一部が公開されます。
毘沙門堂
大宝三年(703)に文武天皇の勅願により開かれた寺院。天台宗京都五箇室門跡の一つという由緒ある寺院です。秋は境内が紅葉で鮮やかに彩られます。
大原・鞍馬
三千院
京都・大原に位置する天台宗の寺院です。 8世紀に最澄が比叡山延暦寺を建立の際、梨の木の下に結んだ庵が始まりと伝えられていて、皇族や貴族が住職を務める門跡寺院。天台宗京都五箇室門跡の一つです。元々は比叡山にありましたが、明治維新後に大原の地に移ってきました。秋になると杉木立に囲まれた有清園と、茶人の金森宗和の修築による美しい聚碧園が紅葉で彩られます。
貴船神社
京都市内を流れる鴨川の水源にあって、「京の奥座敷」と呼ばれています。全国の貴船神社の総本山。参道や本宮の境内に植えられたカエデやモミジが赤く染まり、特に龍船閣から見下ろす紅葉は必見です。シーズン中には貴船神社と料理旅館街等では行灯の設置とライトアップを展開します。
京の奥座敷・貴船もみじ 灯篭:2024年11月1日(金)~24日(日)日没~20:30
鞍馬寺
源義経が幼少期を過ごし、昼間は仏道修行し、夜は天狗に兵法を授けられたという伝説があります。また摂関時代には清少納言も訪れ、『源氏物語』に登場する光源氏と若紫の出会いの場「北山のなにがし寺」のモデルといわれています。標高が高いため、京都市内でも早い時期に紅葉が始まります。どっしり構えた仁王門周辺の紅葉が特に見ごたえがあります。
宝泉院
三千院の参道奥に位置する勝林院の塔頭。五葉の松や額縁庭園の紅葉で有名で、庭の青々とした竹と赤いカエデのコントラストは見応え抜群です。
京都市郊外・周辺(宇治など)
光明寺
西山浄土宗総本山。1198(建久九)年に法然上人の弟子、熊谷蓮生(れんせい)法師(熊谷次郎直実)によって開山されました。紅葉は総門から表参道「女人坂」のなだらかな石段を登りつめた御影堂、薬医門を中心とした「もみじ参道」の紅葉のトンネル、参道に敷きつめられた輝きを増す敷きもみじが特に見どころです。
石清水八幡宮
日本三大八幡宮の一つ。桂川,宇治川,木津川の三川の合流点にある男山に所在し、貞観2年(860)の創建以来,公家や武家をはじめとして,広く崇敬を集めました。国指定重要文化財に指定されてる現在の社殿は寛永11年(1634年)に江戸幕府の第3代将軍徳川家光によって造営されました。外殿の間には天正8年(1580年)織田信長寄進による黄金の樋がかかっています。紅葉の時期には朱色で飾られた社殿を赤黄色の紅葉が色を添えます。
平等院鳳凰堂
藤原頼通によって造営された寺院で、極楽浄土を再現されたといわれています。阿弥陀堂の鳳凰堂は権勢を誇った藤原氏の栄華をしのぶことができます。境内に植えられたカエデが鳳凰堂を取り囲み、平等院全体を赤く彩ります。
三室戸寺
寺の由来は奈良時代末期に宝亀年間(770~80年)、宮中に毎晩のように金色の霊光が差し込む奇瑞の原因を光仁天皇の命により調べたところ、山奥の清淵の中から千手観世音菩薩が現われ、この喜んだ光仁天皇が御室を移してその観音を本尊として安置したことに始まります。春のツツジ、初夏のあじさいなど四季折々の花々が境内を彩る「花の寺」としても有名です。真っ赤に染まるモミジと黄金に輝くイチョウの鮮やかな紅葉が見事です。
まとめ
京都の紅葉巡りでは夜間のライトアップも見逃せません。灯りが照らされて、赤や黄色の紅葉と寺社仏閣の建物が映える様子はまさに幻想的。「SNS映え」すること間違いなしです。新型コロナウィルス感染拡大防止の為、夜間ライトアップや特別拝観を見合わせる寺社仏閣も多いですが、記事では今年(10月12日現在)、ライトアップが実施される寺社仏閣・スポットも紹介させていただきました。京都への家族・ファミリー旅行の参考になると幸いです。宿泊先については下記の記事が参考になると幸いです。