ヨーロッパを旅行するときに耳にする「シェンゲン協定」。参加する国々での国境管理を廃止して、シェンゲン領域外から域内に入る渡航者に対して共通のビザの発給基準を定めたものです。 最終目的地が「シェンゲン協定」参加国がどうかで出入国手続きをどこで行うか異なってきます。ヨーロッパ内での乗り継ぐことも多いヨーロッパ旅行。「シェンゲン協定」について気になる出入国手続きを中心にこの記事ではまとめさせていただきます。
シェンゲン協定って?
検査なしで加盟国間を行き来することを許可する枠組みであるシェンゲン協定は1985年にルクセンブルクで調印されました。シェンゲン協定に加盟している国は次の国々です。(2019年8月現在)
オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス
観光目的の短期滞在の場合、日本のパスポートだったら観光目的の場合、「あらゆる180日間で最大90日まで」ビザなしで滞在することができます。必要なパスポートの残存期間は「シェンゲン領域国からの出国予定日から3か月以上」です。
出入国手続きはどうなるの?
ヨーロッパでシェンゲン協定加盟国に旅行する際に入国審査をする場所は「最初に上陸するシェンゲン協定加盟国」です。そして出国審査をする場所は「最後に出国するシェンゲン協定加盟国」です。最初に上陸するシェンゲン協定加盟国で入国審査を行うと加盟国間の移動は国境検査もなく、自由に移動することができます。
例えば日本からヘルシンキを経由してウィーンまで搭乗する場合、入国手続きはヘルシンキのヴァンター空港で行って、ウィーン行きの飛行機に乗り継ぎます。またウィーンからブダペストに鉄道で移動した際、オーストリアとハンガリーはともにシェンゲン協定加盟国ですので、国境検査なく移動することができます。そしてブダペストからヘルシンキを経由して日本に帰国する際、出国手続きはブダペストではなく、ヘルシンキのヴァンター空港で行います。
シェンゲン協定参加国は必ずしもEU加盟国ではありません。現在、EU離脱問題で揺れているイギリスはシェンゲン協定には参加していません。ロンドンへの直行便も日本から飛んでいますが、「航空券が安かった」などの理由でヨーロッパ内で乗り継いでロンドンまで行くこともあるかと思います。
上記のヘルシンキでの乗り継ぎを例にとると、最終目的地のロンドンはイギリスがシェンゲン協定に参加していないので、ヘルシンキでは入国審査は実施されません。ロンドンで入国審査を受けることになります。またロンドンから出国してヘルシンキを経由して日本に帰国する際はロンドンで出国手続きを実施することになります。
また次のようなケースも考えられます。例えばロンドンを旅行した後、ユーロスターでパリに移動してパリから出国する場合。ユーロスターでパリへ移動する際はロンドンのセントパンクラス駅で出国審査が実施されます。その後、パリを観光してパリからヘルシンキ経由で日本に帰国する場合、フランス、フィンランドはともにシェンゲン協定参加国ですので出国審査はパリではなくヘルシンキで実施されます。
楽しいヨーロッパ旅行を
ヨーロッパを旅行する場合、複数の国を訪ねる人も多いと思います。例えばフランスとイタリアなど訪れる国々がシェンゲン協定参加国だったらその都度、国境検査を受けることなく移動することができます。出入国審査をどこで行うかという点がありますが、域内の国々を自由に行き来できることは魅力的だと思います。