関西から気軽に足を運べる温泉地として古くから人気が高い城崎温泉。2020年に開湯1300周年を迎えました。大阪から出発するは日帰りバスツアーの目的地としても人気の城崎温泉について紹介します。
城崎温泉とは
数多くの文豪に愛された由緒ある温泉地
城崎温泉は717年に城崎へ来た僧侶の道智上人(どうちしょうにん)が、この地で千日間の修行を行った末、 720年に温泉が湧出して開かれたと言われています。道智上人によって天平年間に創建された寺が温泉寺です。天平10年江戸時代の「温泉番付」では横綱が不在、1位の大関に同じ兵庫県の有馬温泉、そして第2位の関脇で城崎温泉が入っています。「城の崎にて」の作者、志賀直哉や有島武郎をはじめ、多くの文人に愛されてきました。城崎には23箇所の文学碑があり、文豪ゆかりの地に建てられた文学碑をたずねる「文学碑めぐり」も楽しめます。
趣が異なる7つの外湯
城崎温泉には外湯と呼ばれる7つの共同浴場があり、それぞれ趣が異なっています。「鴻の湯」は夫婦円満・不老長寿、しあわせを招く湯とされています。足を怪我したコウノトリが傷を癒やしていた場所をよく見ると、温泉が湧き出していたという伝承があります。「まんだら湯」は商売繁盛・五穀豊穣、一生一願の湯とされています。道智上人が千日間、お経を唱え続けたところ、満願し霊湯が湧き出したという仏縁で名付けられました。「御所の湯」は火伏防災・良縁成就、 美人の湯とされています。「増鏡」に後堀河天皇の姉安嘉門院が入湯したという記事があることから名付けられました。「一の湯」は合格祈願・交通安全、開運招福の湯とされています。江戸時代に香川修徳が書いた「一本堂薬選」という薬学書の中で「城崎新湯は天下一」と述べたことから「一の湯」と改名しました。「柳湯」は子授安産、子授けの湯とされています。中国の名勝西湖から移植した柳の木の下から湧き出たことから名付けられました。「地蔵湯」は家内安全・水子供養、衆生救いの湯とされています。この湯の泉源から地蔵尊が出たことが名前の由来です。「駅舎温泉さとの湯」はふれあいの湯とされています。
城崎文学散歩
数多くの文豪に愛された城崎には23か所の文学碑があります。浴衣を着て、文豪ゆかりの地巡りを楽しんではいかがでしょうか。
きのさき温泉観光協会公式サイトより転載
01島崎藤村(駅前)02柴野栗山(東山公園入り口)03村瀬藤城(東山公園入り口)04白鳥省吾(地蔵湯前)05富田砕花(柳湯前)06与謝野寛・晶子(一の湯横)07志賀直哉(文芸館前)08松瀬青々(ゆとうや)09西坊千影(御所の湯前)10藤井重夫(つたや別館前)11吉井勇(まんだら湯前)12松尾芭蕉(月見橋)13菅沼奇淵(鴻の湯前)14田中冬二(晴嵐亭前)15有島武郎(薬師堂前)16山口羅人 17加茂季鷹(参道途中)18山口誓子(温泉寺)19吉田兼好(山頂)20沢庵和尚(極楽寺)21向井去来(本屋町)22野口雨情(木屋町)23京極杞陽(本住寺)
志賀直哉文学碑
城崎文芸館の前に立つ志賀直哉の文学碑には「城の崎にて」の一節が刻まれています。文学碑には本人が直々に寄せた「直哉」の署名が記されていて、志賀直哉による自筆文学碑となっています。
歌のポスト
城崎文芸館前・城崎温泉駅前・一の湯横・温泉寺薬師堂前の4箇所に設置されている「歌のポスト」には、誰でも自由に歌を投函することができます。
「歌のポスト」に集まった短歌や俳句は、毎年3月末に選評され、優秀作を投函した人にはなんと麦わら細工が贈られています。
城崎文芸館「KINOBUN」
平成8年(1996)に城崎ゆかりの作家に関する展示を行う資料館として開館しました。開館20周年の平成28年(2016)にはブックディレクターの幅允孝が企画、E&Yが空間構成、BOOTLEG Ltd.がアートディレクションを担当して、大幅にリニューアルが行われました。城崎温泉を訪ねてきた人だけでなく、地元の人にもより深く愉しく文学に親しんでもらえる施設へと生まれ変わりました。
城崎温泉 周辺観光 おすすめ
但馬の小京都 出石
城崎温泉から車で約40分。出石城の築城とともに城下町として整備された碁盤の目状の町割が残されていて、昔ながらの面影が今も残されています。豊岡市出石伝統的建造物群保存地区の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。江戸時代後期様式の火の見櫓形の時計台、辰鼓楼は出石のシンボル。出石城跡は37基もの朱色の鳥居が並んでいて、白い城壁とのコントラストが見ごたえ抜群です。江戸時代から伝わる名物の出石そばも召し上がってみてください。
玄武洞公園
玄武洞は約160万年前の火山活動で流出した溶岩でできました。約6000年前に波に洗われて姿を現した、5つの洞で形成されています。無数の六角形の玄武岩が積み上げられた様子は、何にも喩えがたい不思議な美しさを放ち、自然の力を人々に感じさせます。昭和6年(1931)に国の天然記念物に指定されました。
竹田城跡
「天空の城」として全国的に有名な山城です。「日本100名城」のひとつです。標高353.7mの古城山山頂に築かれた山城で、山全体が虎が伏せているように見えることから、「虎臥城(とらふすじょう、こがじょう)」とも呼ばれています。天守台・本丸を中心に、三方に向けて放射状に曲輪が配置されていて、縄張りの規模は東西に約100m、南北に約400mに及びます。国指定史跡です。
兵庫県立コウノトリの郷公園
国の特別天然記念物であり、絶滅危惧種のコウノトリを保護増殖して、野生復帰させることを目的として設立されました。平成17年(2005)に野生化に成功して、園内の公開エリアで飼育されているコウノトリに加えて、野外生息・繁殖しているコウノトリを観察することができます。
城崎温泉×カニ バスツアー
バスツアーの行先として人気の城崎温泉。特に秋から冬にかけて、冬の味覚の王様カニ料理を食べることができるコースがたくさん組まれています。中には「松葉ガニ」と呼ばれる丹後半島から島根県沖の日本海に生息していて、水揚げされる雄のズワイガニを食べることができるコースもあります。「松葉ガニ」はぎっしりと詰まった身と上品な旨味が魅力。食事代金ももちろん、旅行代金に含まれています。
城崎温泉 旅館 厳選おすすめ7選
せっかくだから「日帰り」ではもったいないという人におすすめなのは「往復交通機関+宿泊施設」のダイナミックパッケージ。城崎温泉のおすすめ旅館を紹介します。温泉旅館での食事も冬はもちろん、松葉カニを堪能することができます。肌寒くなると温泉の温かさが心地よく気持ちよいもの。温泉に浸かって、美味しいカニ料理に舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。
西村屋本館
創業160年を誇る伝統と格式を持つ旅館。江戸時代に陣屋跡を譲り受けて開業したのが始まりでした。「平田館」は数寄屋建築の巨匠、故・平田雅哉氏が手掛け、昭和三十五年に建てられ、国の登録有形文化財に指定されています。部屋から眺める美しい日本庭園、広々とした内湯と、竹林で囲まれた露天風呂「吉の湯」、平田館の美しい中庭を臨む大浴場「尚の湯」、中国の舗地の趣向をうつした「福の湯」の趣の異なる3つのお風呂、風格のなかにも、温かいおもてなしの空間で、極上のくつろぎとひと時を堪能できます。料理は但馬牛・松葉かに・こうのとり米といった、滋味豊かな地元食材を生かし、四季折々の趣向をこらした会席料理が楽しめます。カップルとの特別なひと時におすすめです。「西村屋本館」はフランスで発足した世界的権威をもつホテル・レストラン会員組織「ルレ・エ・シャトー」のメンバー。「ルレ・エ・シャトー」はCourtesy (心のこもったおもてなし)、Charm (洗練された魅力あるスペース)、Character (特色や個性あるスタイル)、Calm (落ち着きやリラックスできる場所)、Cuisine (質の高い料理)の5Cの基準による厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみ加盟が認められます。世界が認めた「おもてなし」を実感してみてください。
西村屋ホテル招月庭
世界的権威を持つホテル・レストラン会員組織「ルレ・エ・シャトー」のメンバー「西村屋本館」の姉妹旅館。世界が認めた「西村屋本館」が受け継いできた歴史と伝統によって培われた「おもてなし」を感じさせる旅館です。5万坪もの森林庭園に囲まれています。庭園の中には散策路があり、カップルとの散策におすすめ。四季折々の風景を楽しみながらの散歩を楽しめます。男湯女湯それぞれに、温泉大浴場、露天風呂、ミストサウナ、ジャグジーバスの四つのお風呂が用意されています。
川口屋城崎リバーサイドホテル
城崎温泉の大谿川沿いに佇む料理宿。広々とした館内にはカラオケルームやナイトラウンジなどの施設も充実しています。貸切露天風呂からは円山川を一望することができます。料理は津居山がにや但馬牛などの新鮮素材を存分に堪能することができます。
城崎温泉 登録有形文化財の宿 三木屋
創業300年の旅館。志賀直哉の定宿。「城の崎にて」はこの宿で執筆されました。昭和二年築の昔ながらの純和風造りの木造3階建の建物は国の登録有形文化財に指定されています。約200坪の庭園は「暗夜行路」に描写されています。ロビー併設のライブラリーには約250冊の蔵書があり、落ち着いた雰囲気の空間で読書を楽しむことができます。カップルとゆっくり寛ぐことができます。
大西屋水翔苑
温かなおもてなしと素足でくつろげる全館畳敷きの新和風数奇屋造りの宿。せせらぎが流れる中庭には能舞台の幻想的な演出があり、非日常的で優雅なひとときを楽しめます。夕方になるとかがり火が灯り、幽玄の世界を演出します。外湯めぐり無料パスポート付き、外湯巡りや買い物などで出かける時は送迎サービスがあります。
千年の湯古まん
外湯「まんだら湯」のそばにある外湯巡りや散策にも便利な立地の旅館。独特の温かみを感じるケヤキの一枚板など銘木を使った建物が魅力です。
きのさきの宿 緑風閣
湯めぐり街道から、1本細道に入った場所にある観光に便利な旅館。客室は日本古来の情緒を感じることができる畳のすがすがしさや障子の温かみにこだわった純和風の部屋。豊富な品ぞろえから好きな浴衣を選べる「浴衣無料貸出サービス」は女性に大人気です。
「バスツアー」の大きな魅力は何といっても移動が楽ということ。公共交通機関ではアクセスが不便な場所でも「バスツアー」なら直行することができます。またマイカーで行く場合、カーナビが普及しているとはいえ、慣れない道の運転でありがちなのが道迷い。道に迷って、大幅に時間をロスすることも少なくないです。道路事情にも精通した「運転のプロ」が運転する「バスツアー」ならそんな心配もありません。また自分で運転しなくてもいいので、日本酒やワインといったアルコールも飲むことができます。また「往復交通機関+宿泊施設」のダイナミックパッケージも各旅行会社から販売されています。「城崎温泉を満喫したい」「周辺観光も楽しみたい」という人にはおすすめです。