九州の大分県と四国の愛媛県は豊予海峡を挟んで向かい合っています。九州と四国の間は本州と九州を結ぶ関門海峡大橋、関門海峡トンネル、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋や明石海峡大橋、本州と北海道を結ぶ青函トンネルといった橋やトンネルがなく、「陸続き」ではありません。それを補っているのが大分県の佐賀関と愛媛県の三崎を結ぶ「国道九四フェリー」。フェリーの大分県側の発着地、佐賀関フェリーターミナルについて紹介します。
国道九四フェリーとは
国道九四フェリーは、大分県の佐賀関港と愛媛県の西端部に位置する三崎港を70分で結ぶ、九州~四国間を結ぶフェリーでは最短距離の航路です。「涼かぜ」、「遊なぎ」、「速なみ」の3隻の船で運航しています。フェリーの航路は国道197号線の一部で、九州と四国を結ぶ貴重な「生活の足」として、日常生活にも浸透しています。平成22年(2010)以降、新造船を相次いで投入。近年のフェリーに見られる船内設備の拡充が図られていて、あらゆる世代の人たちが快適に過ごせるよう配慮がなされています。
ダイヤについて
地域の人々の「生活の足」として欠かすことができない国道九四フェリーだけあって、1時間に1本とダイヤも多いです。
佐賀関港出港時刻
7:00、8:00 、9:00、10:00、11:00、13:00、14:00、15:00、16:00、17:00、18:00、19:00、20:00、21:00、22:00 23:00
三崎港出港時刻
7:30、8:30、9:30、10:30、11:30、12:30、14:30、15:30、16:30、17:30、18:30、19:30、20:30、21:30、22:30 23:30
佐賀関フェリーターミナル
新ターミナルビル
佐賀関フェリーターミナルビルは令和元年(2019)12月1日から供用開始された新しいビル。外壁にガラス素材を多用するなど明るく開放感のある空間デザインとなっていて、3階には佐賀関港を一望でき、送迎にも利用できる展望デッキが設置されています。佐賀関港の新ランドマークとして乗客だけでなく、地元の人にも親しまれるようにという願いが込められています。乗船予約・発券システムを更新し、乗船券の「インターネット事前決済」や、事前決済した乗船券を窓口に並ぶことなく、受け取り可能な自動発券機「らくらくチェックイン端末機」を導入しています。
FOOD & COFFEE カルマーレ
「FOOD & COFFEE カルマーレ」はターミナルビル2Fにあるレストラン&カフェ。佐賀関名産の海藻「くろめ」が入ったくろめうどんや大分名物のとり天定食などを食べることができます。「くろめ」はくろめは、豊後水道速吸のきれいな海で採れる海藻。ねばりが強く、アミノ酸、天然ミネラル、食物繊維が豊富です。
FOOD & COFFEE カルマーレ
営業時間:10:00~16:45(L.O. 16:20)※フェリーが欠航の場合は休業。
売店
大分県の特産品を中心に、九州各地のお土産や珍しい焼酎などを数多く取り揃えています。
アクセス
最寄りの駅はJR幸崎駅。幸崎駅からタクシーで約15分です。大分バスの路線バスD75、D77でもターミナルへ向かうことができます。バスは大分駅発着、幸崎駅経由です。大分駅からそのまま乗車してターミナルに向かうこともできますが、交通渋滞による遅延の可能性は高くなります。
おすすめ周辺観光 関崎海星館
佐賀関の岬に建つ展望・天文施設。全国的に有名なブランド魚「関あじ・関さば」の漁場として知られる豊予海峡を望む300度のパノラマが楽しめます。テラスや展望室は持ち込み飲食OKです。天体観測室では大型望遠鏡を使い、昼は太陽のほか金星や明るい一等星などを、夜は季節の星々を巡る星空散歩を楽しめます。初夏のアジサイをはじめ、四季折々の花が彩る遊歩道を下りて、「幸せの鐘」や明治34年(1901年)に初点灯した大分県最古の「関崎灯台」への散策もお薦め。日豊海岸国定公園内にあり、渡り鳥の中継地としても賑わいます。
ちょっと足を延ばして 臼杵城下町
臼杵は佐賀関フェリーターミナルから車で約30分のところにある日豊海岸に面した城下町。戦国時代にキリシタン大名大友宗麟が丹生島城(臼杵城)を築城して、南蛮貿易で栄え、南蛮文化が花開きました。江戸時代になると稲葉家5万石の城下町として栄えました。現在も当時の町割りが残されていて、当時の面影をしのぶことができる歴史情緒あふれる街並みが残されています。特に二王座の歴史の道は狭い路地のいたるところに城下町特有の面影が残っていて、高い石垣、重厚感のある瓦屋根、白壁の建物や多くの寺院が坂道沿いに長く続いています。「尾道三部作」などで一世を風靡した故・大林宣彦監督が現在も歌い継がれている名曲「なごり雪」をモチーフにした同名のタイトルの映画の撮影地にもなりました。
佐賀関フェリーターミナルはフェリーの乗下船だけでなく、家族連れやカップルをはじめ、展望スポットとしても今後、人気を集めそうです。「関あじ関さば」の漁場として知られる豊予海峡を眺めて、レストランやカフェでの食事も楽しむといった楽しみ方もあります。