首都圏から気軽に足を運べる温泉地・箱根。一年を通じて国内外から多くの観光客が訪れて、温泉や景観を楽しんでいます。箱根駅伝の中継でもおなじみの富士屋ホテルは箱根を代表するホテル。1878年創業の伝統と風格を誇るクラシックホテルです。2018年から耐震補強などの改装工事に伴って休館していましたが、2020年7月15日にグランドオープンすることになりました。あらためて富士屋ホテルの魅力を探ってみたいと思います。
国指定登録有形文化財の建物群
富士屋ホテルは創業者である山口仙之助によって「外国人を対象とした本格的なリゾートホテル」を目指して創業されました。昭和天皇やタイ国王、オーストリア皇太子などの皇族や王族に加えて、チャーチルやヘレン・ケラー、チャップリン、ジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫妻など国内外の著名人が宿泊しました。館内には登録有形文化財に指定されている建物が多くあります
本館
1891年に建築された本館は外国人の宿泊を意識して,全体に洋風の意匠を基調にしながら内外の要所に和風の意匠を加味した特異な建物です。正面中央の玄関ポーチは唐破風屋根になっています。左右に八角平面の突出部が設けられていて、正面性を強調した左右対称の外観に特徴があります。
西洋館
1号館と2号館からなります。1号館は1906年に本館の南側に客室用の新館として建てられました。左右対称になっていて、正面の両端に八角平面の突出部があり、玄関ポーチは唐破風屋根になっています。2号館は鎧戸付きの縦長の上下窓や天井や軒に用いられている繰形状の蛇腹装飾に本格的な洋風の衣装をみることができます。
花御殿
1936年に建築された建物。外観は大きな千鳥破風の屋根を持ち、複雑な屋根や高欄付のバルコニー等に特徴があります。また校倉造りを模した壁が特徴です。名前の由来は40室すべてに花の名前が付けらていることです。豪華な室内意匠も特徴的で客室のドア、カギなど、細部に花のモチーフが使用されています。
旧御用邸 菊華荘
1895年に皇室の宮ノ下御用邸として造営された由緒ある純日本建築の建物と名園です。落ち着いた雰囲気の中で日本料理を楽しむことができます。2020年7月1日にプレオープンしています。
受け継がれてきた伝統のグルメ
富士屋ホテルのおすすめは伝統あるビーフカレーとアップルパイ。ビーフカレーはココナッツミルクからくる優しさとまろやかさのハーモニーが何とも言えない美味です。富士屋ホテルのメインダイニングルーム「ザ・フジヤ」の他、箱根湯本にある湯本富士屋ホテルのカフェ「ヴィステリア」でも食べることができます。じっくり煮込んだりんごが詰まったアップルパイは1915年以来、受け継がれてきた「伝統の味」を楽しめる絶品スイーツです。富士屋ホテルのラウンジの他、湯本富士屋ホテルのカフェ「ヴィスタリア」、「ベーカリー&スイーツ ピコット」やピコット箱根湯本店で購入することができます。
箱根観光のおすすめキップ
箱根を旅するのにお得なのが「箱根フリーパス」。2日間用と3日間用があり、箱根登山鉄道、箱根登山バス、箱根ケーブルカー、箱根ロープウェイ、箱根海賊船にきっぷ一枚だけで利用することができます。出発駅から小田原駅までの小田急小田原線の往復乗車券も含まれています。(小田急ロマンスカー特急料金別途)
宿泊しなくても建物を見学するだけでも日本の建築美を堪能することができる富士屋ホテル。敷地内を見学したらレストランでのビーフカレーやラウンジでのアップルパイといった「伝統の味」を楽しんではいかがでしょうか。