古来より日本各地では伝統的なお祭りが行われています。伝統行事としてその土地の人々に大事にされ、受け継がれてきています。華やかに装飾された山車や神輿、きれいな衣装を纏って踊ったり練り歩いたりする姿は訪れる人の目を楽しませると同時に、その土地が育んできた歴史や文化を感じることができます。日本人はお祭りが大好き。バスツアーでも各地の伝統的なお祭りを訪ねます。
お祭りとは
日本のお祭りの本来の目的は神を祀ることです。「祭り(まつり)」という言葉の語源も「祀る(まつる)」で、神々に対して供物や祈りなどを捧げる儀式のことを指します。古来より日本人は普段通りの日常を「ケ」の日、祭礼や年中行事などを行う日を「ハレ」の日と呼び、日常と非日常を使い分けていました。「ハレ」の日には、晴れ着を着たり、神聖な食べ物である餅や赤飯を食べたり、お酒を飲んで祝ったりして、特別な日であることを示します。祭りはまさに「ハレ」。日本人は、この「ハレ」の機会を楽しみにし、「ケ」の日常を生きる活力の源としています。
厳選!日本のお祭り15選
日本全国各地で一年を通じて本当にたくさんの祭りが開催されています。こうした各地のお祭りの中からバスツアーでも訪れる機会のある15のお祭りを紹介します。
ねぶた祭り(青森)
東北三大祭りの一つ。祭りの由来は七夕祭りの灯籠流しの変形であると言われていますが、起源ははっきりしていません。奈良時代に唐から渡来した「七夕祭」と、古来から津軽にあった習俗と精霊送り、人形、虫送り等の行事が一体化して、紙と竹、ローソクが普及されると灯籠となり、それが変化して人形、扇ねぶたになったといわれています。。豪華絢爛な「ねぶた」と呼ばれる山車が練り歩く様子は見ごたえ抜群。1980年に国の重要無形文化財に指定されています。
竿燈祭り(秋田)
祭の期限ははっきりしないですが、江戸時代の宝暦年間には真夏の病魔や邪気を払う、ねぶり流し行事として原型となるものが出来ていたといわれています。最も古い文献史料としては寛政元年(1789)津村淙庵の紀行文「雪の降る道」で紹介されたねぶり流しです。ねぶり流しは、五穀豊穣や技芸上達を願って翌7月7日に行われる七夕とともに、陰暦7月15日のお盆を迎えるための一連の行事でもあり、厄よけ、みそぎ、五穀豊穣などを願う現在の竿燈の形が除々にできあがっていきました。灯りをともした竿燈が「ドッコイショー、ドッコイショー」の掛け声とともに自由自在に操られる様子は職人芸です。
仙台七夕まつり(宮城)
仙台の七夕まつりは仙台藩の初代藩主、伊達政宗公の時代から続く伝統行事です。昭和2年、地元商家が豪華絢爛な七夕飾りを飾ったことに始まり、今の華やかなお祭りの形になりました。伝統の「七つ飾り」に彩られた豪華絢爛な笹飾りが杜の都仙台の夏に彩を添えます。
秩父夜祭(埼玉)
秩父神社の例大祭。江戸時代の中期以降、秩父神社に立った絹織物の市「絹大市」(きぬのたかまち)の経済的な発展と共に、盛大に行われるようになりました。豪華絢爛な笠鉾・屋台の曳き廻しや、豪壮な屋台ばやし、夜空を彩る花火、屋台芝居に曳き踊りなどが訪れる人々を魅了し続けています。笠鉾2基と屋台4基の山車は国重要有形民俗文化財に指定されています。また屋台両袖に舞台を特設しての地芝居(秩父歌舞伎)や地元の花柳一門と杵屋一門によるひき踊りは、秩父神社神楽とともに「秩父祭りの屋台行事と神楽」として国指定重要無形民俗文化財に指定されています。ユネスコ無形文化遺産。
越中おわら風の盆(富山)
「おわら風の盆」は富山県八尾市内の11の町内によって行われます。おわらで最も特徴的なのは、男女共に深くかぶった編み笠と、力強い躍動感あふれる「男踊り」と、流れるようなしなやかな艶やかさをもつ「女踊り」、そして印象的な「胡弓」の音色に合わせて唄われる「おわら節」です。地方の演奏とともに各町の踊り手たちがおわらを踊りながら町内を練り歩く「町流し」、地方を中心にして踊り手たちが輪を作って踊る「輪踊り」、演舞場での競演会や各町に設置される特設ステージで各町が独自の演技を披露する「舞台踊り」の3つに分けられます。
郡上踊り(岐阜)
毎年7月中旬から9月上旬まで延べ31夜開催される長期間のお祭りです。特に8月13日から16日にかけて行われる「盂蘭盆会(徹夜踊り)」は祭りのクライマックス。江戸時代に城主が士農工商の融和を図るために、藩内の村々で踊られていた盆踊りを城下に集め、「盆の4日間は身分の隔てなく無礼講で踊るがよい。」と奨励して盛んになりました。こうした歴史背景から観光客も地元の人もひとつ輪になって踊るという楽しさがあります。「かわさき」「春駒」「三百」「ヤッチク」「古調かわさき」「げんげんばらばら」「猫の子」「さわぎ」「甚句」「まつざか」の10曲があり、対応する踊りは、それぞれ異なります。
高山祭(岐阜)
日枝神社の例祭で毎年4月14日・15日に開催される山王祭(春の高山祭)と櫻山八幡宮の例祭で毎年10月9日・10日に開催される八幡祭(秋の高山祭)を総称して「高山祭」と呼びます。高山に春の訪れを告げる山王祭では、祭の舞台となる安川通りの南側・上町に「山王祭」の屋台組の宝である屋台12台が登場します。このうち3台がからくり奉納を行うほか、祭行事では賑やかな伝統行事も繰り広げられます。秋の八幡祭では安川通りの北側に11台の屋台が登場。屋台が町を巡る曳き廻しや布袋台のからくり奉納などの伝統的な祭行事が楽しめます。屋台の起源は江戸時代中期。巧みな人形の動きを披露するからくり奉納や、仕掛けが施された戻し車など、匠の技が生きています。ユネスコ無形文化遺産。
葵祭(京都)
葵祭は今から約1500年前に始まったとされる賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭です。毎年5月初旬から前儀と呼ばれるさまざまな行事が行われ、5月15日には、およそ8キロもの距離を、王朝絵巻さながらに優雅な平安装束をまとった人々が練り歩く「路頭の儀」が開催されます。日本の伝統的な美意識を感じることができます。
祇園祭(京都)
祇園祭は八坂神社の祭礼で、その祭事は、7月1日の「吉符入」に始まり7月31日の「疫神社夏越祭」まで、およそ1か月にわたって行われます。なかでも、祭のハイライトは7月17日と7月24日に行われる八坂神社の神輿渡御と豪華絢爛な33基の山鉾巡行です。前祭7月14日~ 16日、後祭7月21日~23日に行われry「宵山(よいやま)」では、京都の町内の道いっぱいに山鉾が置かれます。鉾に飾り付けられた駒形提灯に明かりが灯り、祇園囃子が奏でられる中、山や鉾を観賞することができます。ユネスコ無形文化遺産。
時代祭(京都)
時代祭は平安神宮の例大祭。平安遷都1100年を記念して明治28(1895)年に始まりました。平安遷都が行われた延暦時代から明治維新に至るまで約2000人の市民が、時代時代のスタイルに扮して、京都のまちを練り歩く時代風俗行列が見どころです。時代風俗行列では、衣裳やヘアスタイル、祭具など、時代による変化が正確に復元されています。
京都五山送り火(京都)
夏の夜空を彩る「京都五山送り火」は、お盆の精霊を送る伝統行事です。東山に大の字が浮かび上がり、続いて、松ケ崎に妙・法、西賀茂に船形、大北山に左大文字、そして、嵯峨に鳥居形が点ります。
よさこい祭り(高知)
昭和29年(1954)に当時の不景気風を吹き飛ばし,市民を元気づけようと行われたのが始まりです。祭りには約190チーム、2万人の踊り子が参加。各チームがそれぞれの個性を出した、衣装、音楽、振り付けを施して、高知市内16の競演場・演舞場でエネルギッシュな踊りを披露します。
阿波踊り(徳島)
阿波踊りは約400年の歴史があり、徳島県内各地の市町村で開催される盆踊りです。阿波踊りの発祥についてはっきりとした資料は残されていません。徳島藩祖である蜂須賀家政による「築城起源説」に基づいているという説がありましたが、この説にも疑問が多く、盆踊りが「組踊り」「ぞめき踊り」「俄」といった民衆芸能の影響を受けながら形が作られてきたとする説が有力とされています。基本スタイルは、三味線、太鼓、鉦(かね)横笛などの「2拍子」の伴奏にのって踊り手の集団「連」が踊り歩きます。「男踊り」と「女踊り」があり、「男踊り」は半天(法被)を着て踊る「半天踊り」と、男物の浴衣をしりからげに着て踊る「浴衣踊り」があります。踊りの振りは大きく、時には勇猛に、時には滑稽に。うちわや手ぬぐいなどを使って踊ることも多く見られます。一方、「女踊り」は、女物の浴衣に網笠を深くかぶり、厚化粧をし、草履ではなく下駄を履くのが特徴です。艶っぽく、上品に踊るのが良いとされています。
博多祇園山笠(福岡)
「博多どんたく」、「筥崎宮放生会」と並ぶ博多三大祭の一つ。仁治2(1241)年を起源とする櫛田神社の奉納神事で、毎年7月1日から15日まで開催されます。山笠には博多の町を駆け抜ける「舁き山」と、観賞目的の豪華絢爛な「飾り山」があり「動の山笠」「静の山笠」としてそれぞれの魅力を伝えています。「舁き山笠」には「大黒流」「東流」「中洲流」「西流」「千代流」「恵比須流」「土居流」の7つの流(ながれ)が存在し、それぞれ特徴的な舁き山笠を担ぎます。7月1日 に福岡市内14か所に大きな「飾り山笠」が公開されます。7月12日に追い山に向けた予行練習として約4キロのコースを走り、本番さながらのタイムレースが繰り広げられる「追い山慣らし」が行われ、7月13日には呉服町交差点から中央区天神の市役所前まで1.2キロの道のりを走る「集団山見せ」が行われます。7月15日が祭りのクライマックスの追い山笠。午前4時59分、大太鼓の合図とともに一番山笠が櫛田神社の境内に舁き入れられ、以降、二番山から七番山まで一定の間隔を置いてその後に続き、櫛田神社の境内から博多の町へ駆け出していきます。
長崎ランタンフェスティバル(長崎)
長崎ランタンフェスティバルは毎年1月下旬から2月上旬にかけて行われる祭り。中国の旧正月を祝う行事を起源としています。長崎市内の7つの会場で行われる長崎の冬の風物詩です。三代中華街の一つに数えられる新地中華街を中心に飾られる約1万5000個の極彩色のランタンと、各会場の大小さまざまなオブジェが一帯を幻想的に彩ります。
バスツアーの魅力
「バスツアー」の大きな魅力は何といっても移動が楽ということではないでしょうか。公共交通機関ではアクセスが不便な場所でも「バスツアー」なら直行することができます。またマイカーで行く場合、カーナビが普及しているとはいえ、慣れない道の運転でありがちなのが道迷い。道に迷って、大幅に時間をロスすることも少なくないです。道路事情にも精通した「運転のプロ」が運転する「バスツアー」ならそんな心配もありません。また自分で運転しなくてもいいので、日本酒やワインといったアルコールも飲むことができます。
バスツアーに限らず、日本各地のお祭りを訪ねるツアーはたくさんあります。「ハレ」のお祭りだからこそ、地域の人々との心温まる交流の機会もあるかもしれません。日本各地のお祭りを訪ねて、「日本の良さ」を見つめなおしてみませんか。